NHK 東洋医学 ホントのチカラ~科学で迫る 鍼灸・漢方薬・ヨガ~が放送されましたよ

鍼灸師を始めとする多くの治療家、医療関係者が注目していた「東洋医学 ホントのチカラ」が2018年9月24日(月)NHKにて放送されました。普段テレビをあまり見ない私も久々にテレビを食い入るように見てしまいました(笑)
1部と2部の構成に分かれていましたが、1部が主に鍼を中心とした東洋学の成り立ち、2部がヨガ、漢方、お灸の治療効果についてまとめられていましたがすごいですね。ここまで鍼灸のことや東洋医学の事をまとめられたテレビ番組も過去にはあまりなかったのではないでしょうか。
 
私としては美容鍼灸の専門家でもある為、特に注目したのは第1部。途中美容鍼灸の話題や、実際にタレントの菊地亜美さんが受けてみてその感想や施術効果を取材されていた内容です。
これまで鍼灸と言えば腰痛治療や肩こりのイメージがありましたが、近年は鍼灸=美容鍼灸というイメージも定着されつつあるように感じます。それが如実に感じられた内容でした。美容というWordがついている以上、美しくなることや顔面部の悩みを改善するのが美容鍼灸ですが、その根本は健康度合いの向上です。
 
顔だけ美しくなっても意味がない
 
私も講演や後進の指導、患者さんを問診する際には口を酸っぱくしてお伝えさせていただいている言葉です。例えばクマで悩む患者さんがいるとしましょう。クマができている患部、目の下に鍼をすれば確かに血流の改善が起こりクマが改善されます。しかし、それだけでいいでしょうか?
 
美容鍼灸では「なぜそのクマが現れているのか」ここを重要視します。東洋医学ではクマは3種類に分類され、肝、腎、脾のいづれかの不調で現れると考えられています。現れているクマの原因である五蔵も同時に治療を行うことで改善を早め、併せて現れている身体の症状を治療することができるのが美容鍼灸の醍醐味なのです。
 
シンプルに考えても、おおよそクマが現れている方は寝不足、慢性的な疲労、眼精疲労が現れている場合が大半です。このような原因はそのままなのに、クマだけ改善させたとしてもイタチゴッコとなりすぐに元に戻ってしまいます。今回の放送ではそのような”身体の健康が美しさにつながる”という内容まで言及されていたのは美容鍼灸師として素直に嬉しかったです。
 
美容鍼灸もその知名度の向上から多くの治療院や病院、クリニックでも導入されるようになってきました。しかし、まだ顔だけの施術だけに留まっているケースや、顔面部を踏まえた身体の治療を行えている鍼灸師はまだまだ少数派だと感じます。大量の鍼を打つケースや顔に打った鍼に電気を流すケース、様々な術式も存在しますが大事なのは安全で効果が出るのかという点。患者さんの要望に応え、安心して施術を受けて頂けるよう我々美容鍼灸師も慢心することなく更に研究や努力を重ねていかなければと考えさせられる良い機会にもなりました。
 
第2部ではヨガや漢方による実際の症例や効果について、医療機関や海外での取材内容が多く見受けられました。実際にヨガを実践され、100歳の今でも現役のヨガインストラクターをされている女性や認知症や寿命を延ばすといった漢方薬の紹介もあり、東洋医学の魅力、有用性を多く感じ取れる内容です。
 
お灸に関してもアフリカの地で結核の治療、予防としてお灸が導入されつつある件、免疫力を高める理論、エビデンスも紹介されており鍼灸師冥利に尽きる内容。局所治療ではなく全身治療、病を診ずに病人を診るという東洋医学の特徴を上手くまとめられていたように感じます。
これをきっかけに健康の大事さや未病、予防といった健康意識の向上、東洋医学の浸透がさらに広まれば我々もとても嬉しく思います。しかし、最後にひとつ感じたのは東洋医学のデメリットにあまり触れられていなかった点です。番組を批判するつもりは毛頭ないのですが、東洋医学はデメリットが全くない医療ではありません。今回は構成上、割愛されたのだとは思いますが、いかに東洋医学が免疫力を高め、多くの病気や難病を治すことができる可能性を持っている医学のひとつだとしても全く効果がないという場合ももちろんあります。
基本的に、特に日本においては急性期の症状には対応が難しいですし、安易に腰痛、風邪だからといって自己判断でお灸や漢方を飲むようなことは避けて頂きたいのが鍼灸師としての願いです。ツボにもお灸をしてはいけないツボや特定の時期(妊娠中など)には扱わない方が良いツボも存在します。大事なのは西洋医学(現代医学)と東洋医学の良いところを上手に使い分ける事。
 
全科対応型の医療とも呼ばれる東洋医学ですが、すべての病気や症状は治せません。今回の放送を見て藁にもすがる思いで鍼灸院を受診したら思っていたような効果ではなかったと落胆してしまう患者さんもいるかもしれません。鍼灸は幅広い症状に効果をだすことが故に、その研鑽も技術の習得も簡単なものではありませんし、レントゲンや血液検査はできません。
私も美容鍼灸の傍ら、パーキンソン病の患者さんを今でも診させていただいていますが、服薬状況や検査結果等をふまえて施術にあたさせていただいています。鍼だけで、東洋医学だけで100%治るわけではありません。大事なのはバランス、調和の考え方です。西洋医学で不足している部分を東洋医学で補う、東洋医学で不足している部分を西洋医学で補う。残念ながら鍼だけすべてが治るわけではありませんが、治せるもの、改善できる症状やお悩みはすべて助けになりたい、そんな想いで我々鍼灸師は臨床にあたっています。特に東洋医学が得意とするのは、予防や未病、そして現代医学の検査結果でも異常が出ない症状です。もし、そのようなお悩みがあればぜひお近くの鍼灸院をお尋ねいただければ幸いです。きっと心強い力になってくれます。
 
なにはともあれ、今回のような放送がみれて幸せな美容鍼灸王子でした。
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ABOUTこの記事をかいた人

井上 公佑

通称 美容鍼灸王子® 終末期医療や高齢者医療の現場で鍼灸師として活躍。年間2,500件以上の施術を担当。その過程で、仮面様顔貌など容姿が変化する難病の患者を救いたい思いから、日本における美容鍼灸のパイオニアである上田隆勇氏に師事。女性だけでなく、難病患者も美容鍼で改善に導く治療院を運営。その後の活動が評価され、最年少にて初代上田式美容鍼灸®認定講師の1人として任命を受ける。 現在は施術の傍ら専門家への美容鍼灸の指導活動や、一般向けの講演活動を行い正しい美容医療の普及活動も精力的に行っている。メディア取材実績多数。

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